大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)1699号 判決

被告人 箱山浪治

〔抄 録〕

一、第一点について。

原判決が本件三個の犯罪事実の証拠として数個の証拠の標目を一括して掲げていることは所論のとおりである。しかしながら該証拠の標目中柳沢幹治及び被告人の各検察官の面前における供述調書は、いずれも、本件各犯罪事実にわたるものであり、残る証人佐藤末松の供述は、記録と照らし合わせるときは、原判示第一の事実について採用されたものてあることが明らかである。従つて原判示犯罪事実と原判決摘示の証拠との具体的関連は、明白であると言わなければならない。また、原判示第三の事実は、原判決援用の右柳沢幹治及び被告人の各検察官の面前における供述調書を総合して明認されるところであつて、原判示一万円の金員が正当に貸与されたものと解し得ないことは、右被告人の供述調書によつて明らかなところである。原判決には、所論のような理由のくいちがい又は事実の誤認は存しない。論旨は、独自の見解を主張し、あるいは、原審に顕われた証拠中被告人に有利な措信し得ないものをも援用して誤つた推断を下したものであつて、理由がない。

二、第三点について。

有罪判決に示すべき法令の適用については、罪となるべき事実と比照してその具体的関連が明白であれば、法条の列挙をもつて足ると解すべきものであるから、原判決がかかる方法によつたことについては、これを攻撃すべきいわれはない。ただ、原判決に示された罪となるべき事実の末尾には、「以て夫々同人の職務に関し賄賂を供与したものである」となつていて、原判示事実によれば、原判決が三個の贈賄の犯行を認定したものと解されるにかかわらず、法令の適用の部分には併合罪に関する規定の摘示を欠き、併合罪の加重を遺脱したこととなる結果、処断刑の範囲に差異を来たしているから、原判決には、法令の適用の誤があつて、しかも、これは、判決に影響を及ぼすものと云わなければならない。しかし、これは、被告人に不利益な主張であつて、適法な控訴理由とはならない。なお、記録を検するも、原審の審理に不尽の点はない。

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